映画「
リバティーン」の話。
画面が暗い。ただ暗い、というのではなく、自然光の作るぼんやりした陰影の中に、
色彩自体は鮮やかながら、生命感の乏しい、美しく霞んだような映像が、
じわじわと観る者の正気を奪い、混沌への扉を静かに開いていく、そんな暗さ。
「
妖しい澱み」とでも言おうか。
僕が今まで見たことのない映像だった。
いまさら言うまでもないことだとは思うが、映像作品において画面のトーンは、
観客がそのシーンの基本となるイメージを固定する為の装置として機能する。
ひいては作品全体のイメージの醸成に占める割合が最も大きい要素だと言える。
それは観客の眼から進入し、言語化される前に素早く行われる一方的な姦淫だ。
話を戻そう。