横浜は黄金町の
「ジャック&ベティ」に
映画を観に行ってきた。
伊勢崎町の裏通り。
ハングルの看板、ロシア人らしい客引き、ラブホテル街・・・
場所柄か、昼間のこの街は寝顔を見せていた。
交差点を渡るたびに受ける強い横風が少し湿気を帯びている。
まだ五月だというのに、太陽の先走りか、真夏のような陽射しと絡まって、
ヨコハマの匂いが吹き上げられて、また落ちてくるようだった。
僕は汗をかいていた。
気だるく、落ち着きのないその街の空気が、
じんわりと汗を噴き出す毛穴へ入れ替わりに流れ込んでくるようで、
その感覚は精神の人工透析を思わせた。
悪い気はしない。
一歩ごとに魂が減圧され、体がふわふわと揺らいでいく。
僕の存在が、細い路地から吹き付ける遠い潮風に巻かれて、
雲のようにちぎれて、見えなくなってしまうような気が、ふと、した。
なんてね。