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愛ゆえに!

真救世主伝説 北斗の拳 ラオウ伝 殉愛の章(長いなあ)の試写を見てきた。
友人の漫画家さんのコネで、わりと関係者筋向けのイベントに招待してもらったのだ。
場所はお台場、ディファ有明。
この会場に足を踏み入れるのが、プロレスより先に試写会になろうとは…
久しぶりのお台場なので、ちょこっと他にも見てきたのだが、それは別項にて。

まず入り口にジャギ様が居られるのを発見。
当然、「俺の名を言ってみろ~」を期待するも、仮面の奥から発せられたのは、
「いらっしゃいませ、こちらからどうぞ」だった。
ジャギ様はそんなこと言わない。
この時、僕の上映中のテンションが低レベルに設定された。

そんな思いを渦巻かせつ場内へ。
友人から関係者用のパスを貰い、胸に貼り着けて入場する。
ロビーのようなところで歓談している人々、
ケンシロウ像のところで記念撮影する人々、
劇場版限定キャラ「レイナ」の格好をしたおねえさんを激写しまくる人々、
人から人へ挨拶して廻る人々がワラワラ居り、
ポスターやグッズを売るスタッフの声、タバコの煙、古いエアコンのカビっぽい匂い、
などが混ざり合って、人気のあるアマチュアバンドのライブ前のような雰囲気が醸成される。
後から聞いたところでは、出版業界の人が多かったということで、
僕が感じた内輪ノリっぽい空気はどうやらそのせいだったらしい。

友人は編集者と軽く打ち合わせがあるそうなので、先に席について待つ。
D-41…かなり前の方だ。しかもスクリーンの脇の方だ。覚悟を決めて席に着いた。

本編の前にタレントを使ったテレビ向け煽り映像を上映。覚悟が鈍る。
その後、武論尊、原哲夫、あと当時の編集者で劇場版の仕掛け人(なの?)の対談映像。

そしてクリスタルキングのキングの方(僕はそう呼んでいる)のミニライブ。
唐突過ぎてノれない。もったいないなあ。
先に司会なり前説なりで多少は暖めるべきだったね。
会場はパイプ椅子がぎっしりで立ち上がるのも憚られたし。

そんなこんなでようやく本編の上映。

三年間で五部作として制作される第一弾は、聖帝サウザー編。
原作ファンの中でも特に人気のあるエピソードの一つだ。
ちなみに僕がはじめて漫画で泣いたのはこの話だった。
思い入れがあるだけに、楽しみなような、不安なような気分。
そして愛着の深さの分だけ、見る目も厳しくなってしまう。
愛ゆえに!


作品自体はかなり原作に忠実な仕上がり。
「ラオウ伝」「ラオウの視点」という触れ込みから、
もっと外伝的な内容が色濃い物かと予想していたけど、
はっきり言ってそういった要素は薄い。
劇場版キャラ「レイナ」のシークエンスも、特に作品への影響はなく、
添え物のような印象を受けてしまう。

ラオウの優しさの側面や、哀しみとの対峙の仕方などは、
原作ファンには既に十分に伝わっているはずだし、
そういった内側の部分を「見せない」という生き方がラオウなんだと思う。
北斗三兄弟に限らず、北斗のキャラクターに共通する魅力は、
「愛と哀しみ」に対するそれぞれの姿勢の違いであり、
それを己の宿命として全うする生き方にあると僕は思っている。

ラオウは胸の奥に抱え、トキは優しく見守り包み、ケンシロウは全身で背負う。
サウザーは誰よりも愛を強く求めるあまりその哀しみを受け止めきれずに暴走し、
シュウは己の全てを差し出して、乱世の救世主となるケンシロウを導き希望を繋ぐ。

今回の劇場版第一弾は、そういった「北斗の拳」の全篇を貫く、
「漢たちの宿命の交錯」というテーマが、
シュウの壮絶な散り際とともに物語に深く楔を打ち込むかの如く刻み込まれた、
作品全体を象徴するエピソードである。
だからこそ、小細工せずに作品だけドーンと出して欲しかったなあ…

と思いながらも、スクリーンを見つめる僕の目からいつしか水のような物が。
隣にいる友人は気付いていたのかどうか分からないが、
僕は目を拭う間も惜しいほど、宿命に殉ずるシュウの姿に釘付けになっていた。

個人的には弁慶の立ち往生にも匹敵するぐらいの、
日本の文芸史に残る名シーンだと思っているので、泣かない人は頭脳を検査した方がいい。
いや、体の隅々まで徹底的に調べる必要がある。
人としてこの世に生を受けた以上、ここで泣かずしてどこで泣くか!
この話で泣かないだと!?
てめえらの血は何色だーっ!!

これ以上書くとネタバレせずにはいられないので、ストーリーについてはこの辺で。


声の出演ですが、阿部寛は予想以上の出来でした。
さすがは当代一の実力派二枚目俳優です。
神谷明のケンシロウはヒーローとしての激しさ、強さを余すところなく表現していましたが、
今回の阿部寛の演技は、宿命を受け入れた漢の決意と、その哀しみの重さが滲み出るようで、
「ケンシロウ」という人格がスクリーンいっぱいに溢れていました。
ただただ脱帽です。
実写でやっても違和感ないんじゃなかろうか、と思うぐらいの素晴らしい演技でした。
いつの間にか敬語になってるし。

ラオウ役の宇梶剛士さん、レイナ役の柴咲コウさんについては、演技の評価は差し控えたい。
とりわけ「ラオウの内面を表現する」という難しいテーマに挑まれた宇梶さんの苦労は、
察するに余りあるものだろう。
柴咲コウさんについては、原作に存在しない人物にどう感情移入すればいいのか、
手がかりの乏しい役作りに苦労された事と思う。
結果として、お二人の演技はクオリティとしては疑問符が多いものだった。

努力に対する評価は期待に基づくものであり、結果に対する評価は要求に基づくものである。
つまりこの作品に対する「期待」はクリアしているが、「要求」を満たすものではなかった、
と言わざるを得ない。
個人的には役者として期待を寄せる両者だけに、残念だった。
そもそもキャスティング自体が疑問なので、役者だけを責める気はないが…

ややヲタ話になるが、大塚明夫はやっぱり凄い。
今回はサウザーの声で出演していたが、サウザーの秘めた哀しみ、愛への渇望、
帝王の星に産まれた宿命とその孤独を演じきってみせた。
あの人は声だけでどれだけの人格を表現できるんだろう。

上映終了後も、タイアップしてるらしい女の子(歌手?)の紹介や、
その他諸々の作品には直接関係のないあれこれを司会者がつつがなく進行し、全ログラムが終了。
率直に言って、中学校の運動会のようにぎこちない進行のイベントでした。

イベントとしては全体的に詰めの甘さが目立ったものの、
大きなスクリーンで「北斗の拳」の世界を堪能できたことは、非常に有意義だった。
正直、原作ファンに強くお薦めするには心許ないが、失望はさせないと思う。
原作をちゃんと読んだことのない人にとっては、いい導入になるでしょう。
少しでも興味を持った方。
大画面で観て、損はないと思いますよ。

3月11日公開です。
あ、今日か。
是非お近くの劇場へどうぞ。

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