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時分の影

先日、久しぶりに隣町まで買い物へ行ってきた。
ちょくちょく足を運んでいたヴィレッジヴァンガードが閉店すると聞いたためだ。
テナントが入っているのはファッションビルのパルコなのだが、
そこが2月いっぱいで丸ごと閉店するのだという。

平日だったからか、拍子抜けするほど人が少ない。
それもそのはず、僕が知らなかっただけで、
年明け早々から閉店に向けたセールをずっと行っていたらしい。
どのテナントを覗いても棚の空白が目立つ。
めぼしい物はあらかた刈り取られた後ということなのだろう。

車に乗り始めた頃の僕にとって、道順も簡単で、
地元よりはいくらか拓けているこの街は定番の買い物コースだった。
古着のシルクシャツを漁ったり、米軍払い下げのコートを物色したり、
昼飯を食わずにあちこちウロウロしていたものだが、
それらの店も今ではもう残っていない。

これでパルコがなくなれば、僕の記憶に刻まれたあの街の姿は、
地上からほぼ完全に姿を消すことになる。
感傷に浸るつもりはないが、そう思うとなにやら胸に去来するものがあるのは確かだ。
年々、我が家からあの街への道は交差点の整備や道幅の拡張などで快適になり、
アクセスは向上しているが、その先にあるのは今や別の場所になりつつある。
街は近づきながら、遠ざかっている。

追憶のトポス。彷徨のアドレス。
記憶という意識が、時間と空間のミラーハウスの中で行き先を見失うとき、
僕はやっと足元の影がどんな姿をしているかを見る。
その影がどんなに自分に似ていないかを。
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