スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 
 

幽霊と踊る街

夜更かしをし、住む場所も転々とし、やがて生まれた街に舞い戻ってきた。
どこを歩いても思い出とすれ違う街。
愛した女の面影や、届かなかった憧れを葬るに相応しい街。
それは自分の幽霊が住む街。

男は窓からその街を眺めている。
真夜中、男は外に出て、自分と同じ顔をした幽霊たちと踊る。
フリスビーをした公園で、自転車の練習をした路地で、
初めてエロ本を買った雑貨屋の裏で、母親が愛した花の前で。
そして、その横を自分によく似た誰かが通り過ぎる。
男は踊り続け、すれ違った誰かが自分のいた部屋に入るのを見届ける。
これからは踊るだけでいい。
そう思うと男はなんだか少し嬉しくなった。



人はいつか死ぬ。
それは誰にとっても同じだ。
そしてそれは一秒ごとに、確実に近づいていく。
そのことを本当に身近に感じ始めたとき、人は自分の過去を静かに振り返る。
そこには自分の幽霊が立っているだろう。
幽霊の正体は思い出だ。
僕はそう思う。
自分の幽霊と踊るとき、それは自分のラストシーンの幕が上がる合図だ。
演出を練らなければならない。

ニューヨークのどこかで彼はもう夜明けの来ない黄昏の始まりを感じながら、
窓からアメリカの晩年を眺めているのだろう。

スポンサーサイト
 
 

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://nightfly.blog18.fc2.com/tb.php/17-0f9d7efb

 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。