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読書患者

癖というものは、どうにもしようのないものだ。
ここでいう「癖」というのは、集中力が切れるとペンのノックをカチカチ繰り返すとか、
鼻をかんだあと思わず紙を広げて確認してしまうとか、そういうものではない。

「性分」とでもいうべきか。
大根おろしは自分でおろさないと気が済まないとか、
道端で猫に出会うと話しかけずにはいられないとか、そういう類のものだ。

その癖が出た。
それは古本市に行き当たると素通りできないというものだ。

我が家の本棚は既に許容量を越え、ざっと乗車率400%はくだらないだろう。
枕元には棚からはみ出した本が積み上がっている。
僕はこれを「未読山脈」と名付けており、時々雪崩に呑まれて遭難しそうになっている。
そこへさらに雪崩のリスクを上積みしようというわけだから、
冷静に考えればこれは正気の沙汰とは思えない。
まともに頭が働いていれば、これ以上は床の面積を削るしかないことぐらい、
すぐに思い至りそうなものだ。
それをも差し置いてということになると、もはや病理に近いような気がする。

ただでさえ読むのが遅い自分にとって、これだけのものを読むにはいつまで掛かるやら。
それすらも考慮に入れず、憑かれたように古書の物色に没頭する。
これはもう患っているのである。
ただ、こうして自覚があるだけ救いなのかもしれない。
辛うじて自身の金銭的事情に気を違えるまでには至っていないようだし。

さて、今回の収穫は以下の通り。

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『五重塔』            幸田露伴     岩波文庫ワイド版
『茶の本』            岡倉天心     岩波文庫ワイド版
『大つごもり』          樋口一葉     岩波文庫
『北原白秋詩集』         西脇順三郎 編  白鳳社
『金子みすゞ童謡集 明るい方へ』          JULA出版局
『金子みすゞ童謡集 わたしと小鳥とすずと』     JULA出版局
『國文学 幻想文学』       昭和59年8月号  学燈社
『大理石』            マンディアルグ  人文書院
『肉体の悪魔』          ラディゲ     新潮文庫
『奇巌城/怪盗紳士』       ルブラン     創元社

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なんとなく明治文学な気分だったのと、また自身の日本語表現における教養の欠落を、
これ以上放置しておいてはさすがに致命的な、回復不能の弱点になるということは、
常々思っていたので、今回はいわゆる王道的な選択になった。
如何にまともに育っていないかということを晒すようでまことに恥ずかしいのだけど、
知らぬは一生の恥という言葉もある。
今のうちに取り戻さなければ「一生が恥」になってしまうかもしれないので、
汗顔の至りながらここに告白しておく。

白秋と金子みすゞを拾ったのは、歌の言葉としての日本語を考え直したかったから。
和歌や俳句などの定型詩から追いかけ直したいという思いもあるけれど、
それらは呪的な色の濃いもので、「歌という言語表現」という意味では、
やはり2008年の人間にとっては明治の詩人に学ぶところが大きいのではないかという、
これは勘や直感のようなものなのだけれど、そのフィーリングに従った。

あとは相変わらずの大魔王澁澤閣下の遺された足跡とその周辺を追いかけるような選択で、
これはまあいつも通り。

しかしこうして見ると自分の読書傾向にも、一時期の狭量な「趣味用の趣味」的な段階を過ぎ、
偏ってはいるものの、それぞれの分野の核心を求める嗅覚のようなものが、
少しは備わってきたように思う。
よしよし。
そんなことはどうせ誰も褒めてくれないので、自分で褒めておこう。

しかし、そういう感覚が磨かれていくほどに、読まねばならない本が増えていく、
というか、今まで見向きもしなかった本の価値が感じられるようになる、
なんてことが頻発して、これはもうキリがない。
もうほとんど依存症とでもいうべき状態だ。
治療法も処方箋もない。
何より患者がそれで幸せだと思っているのだから、治す必要はないのだろう。

しかし、書籍代に保険が適用されるなら大歓迎だ。
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コメント

こんにちは。
先日は当ブログにおこしいただきまことに
ありがとうございます!とっても素敵なブログ
ですね(´∀`)早速記事の方をジックリと拝見させて
いただきます。
それでは!

>>ブロッケンさん
いらっしゃいませ。

どういう道筋でお邪魔したか定かではありませんが、
わざわざありがとうございます。
そちらの充実振りとは比べるべくもない、
貧弱なテキストコンテンツしかなく恐縮ですが、
お楽しみいただければ幸いです。

ご訪問ありがとうございます。

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