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首輪

さっき膝のちょっと下の辺りに生えている毛たちの中に、
白髪を一本見つけました。

足が老いているということでしょうか。

せっかくなので、採取して撮影、公開してみようとしたら風で飛ばされてしまいました。
毛が飛んでいったその先には愛犬が眠っていました。
探してみても彼の抜け毛と混ざってしまって判別できません。

なので代わりに彼を撮影してみました。

レン001


レン002


レン003


レン0000

すると彼はのそのそと起き上がり、僕の足元まで歩み寄って、
さっき抜いた白髪が生えていた辺りをぺろぺろと舐めはじめました。
しばらく彼は僕の膝というか脛というか、そのあたりを舐め回したあとで、
彼は鼻息をふいっと一つ吐き出して、離れていってしまいました。

相変わらず気まぐれな奴だ、と思っていると、唾液まみれになった僕の足から、
白い毛がぼうぼうと生えてくるではありませんか。
これはいかなる禍事か。
そう思っている間にも白い毛は生え続け、その範囲は足から腰、腹、胸と、
どんどん広がっていきます。
やがて腕まで白い毛で覆われてきました。
するとどうでしょう。
二本の足で立っているのが気持ち悪くなってきました。
あまりにも気持ち悪いので、崩れ落ちるように跪き、両手を地に着くと、
カリカリのかさぶたが傷口から剥がれるような快感を伴って、
四つん這いの姿勢で思わず快哉の声をあげていました。

「うぅあおおおぉ~ん」

四肢が全力で地面を蹴り上げると、今まで感じたことのない躍動感が、
体の内側から湧き上がってきます。
心のままに駆け回っていると、さすがに疲れてきました。
何物にも代え難い充実感を感じながら、そのまま眠りに落ちていきます。

そして御褒美を貰う夢を見ました。
きらきら光る、豪華な首飾りです。
この世のあらゆる光を集めて、反射しているような輝きです。
目の眩むようなその首飾りを、そっと首にかけてもらいます。
こんなに立派な物を貰ったのは、生まれて初めてです。

なるほど、自分は夢を見ていたのか。
いきなり体中に白い毛が生えまくって、四つ足で駆け回るなんて、
あまりに現実離れしている。
何もかも夢だったのか。
納得したような、続きが見たいような気分で、また眠りの淵に沈んでいきました。


翌朝、まぶたに眩しさを感じて目が覚めました。
目覚ましもかけていないのに眠りから醒めるなんていつ以来でしょうか。
光は下のほうから広がっているようです。
あまりにも眩しくて、目眩がします。
何とか二本の足で立ち上がりましたが、くらくらしてしまって、
その場に立っているのがやっとです。
どうにも具合が悪いので、思わずしゃがみこんでしまいました。

すると、見覚えのある人影が近づいてきました。
ふらふらと頼りなく立っていると、彼は目の前でしゃがんで、
そっと頭を撫でてくれました。
首輪の光が反射しているせいか、顔はもちろん表情も分かりません。

すると、なぜだか涙が出てきました。
堪えようとしても、とめどもなく溢れてきます。
こんなことは初めてです。
溢れる涙が、輝く首輪に零れ落ちました。

するとどうでしょう。
首輪が音もなく粉々に砕け散ってしまいました。
それと同時に、背中から倒れこむように、全身が脱力していました。

しばらくして、ぼんやりと意識が回復すると、顔にくすぐったさを感じました。
目を開けると、愛犬が僕の顔を嘗め回していました。
僕は家の庭に横たわっていました。
僕が目を覚ましたのに気づくと、彼はそっけなく離れて行きました。
のそのそと体を起こすと、彼は何かを口にくわえて僕の元に戻ってきました。
それは僕の携帯電話でした。

きっと寝ぼけてどこかに取り落としたのでしょう。
僕がそれを手に取り、ネックストラップに首を通すと、彼は小走りに離れていきました。

折りたたみ式の携帯電話を開くと、ディスプレイには僕の寝顔が写っていました。
しかも、首にはあのきらびやかな首輪がけられてるのです。


思わず、僕は声をあげていました。

「うぅあおおおぉ~ん」
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